ごあいさつ

ごあいさつ

”こころの拠り所づくりを目指して”

理事長 胡谷 直

理事長 胡谷 直

社会福祉法人 王慈福祉会からご挨拶申しあげます。
日本は世界中がいまだかつて体験したことのないスピードで高齢社会になり、人が安心して社会で暮らす上で様々な不都合がでてきました。「将来に希望がもてない」「年金、医療、福祉は大丈夫?」「われわれの暮らしはどうなるのだろうか?」「障がいを持っていても安心して子育てができるの?」という声を若い方からお年寄りまでよく聞きます。

今、国民の社会福祉や社会はどうあるべきか、どう対応するのだろうかと世界の目が日本に注がれています。何故なら、これから高齢化が課題となる外国は、日本の成功と失敗を学び自国の対策に活かすことが出来るからです。国や県、市町村がなんとかしてくれると思うのではなく、決して傍観者にならず、自らが行動していくことが求められています。日本人として、そしてなにより、皆さん自身の力が試されており、生き方が問われています。人として将来を明るく照らすための行動は、世界中から賞賛され活用される日が来ます。世界中の人々、そして目の前で困っている方々はそれを待っているといっても過言はありません。喜びは分かち合うと増えていきます。

「子ども叱るな、来た道だもの。年寄り笑うな、行く道だもの。来た道、行く道、二人旅。これから通る今日の道。通りなおしのできぬ道」と言います。
今は元気でもかならず年老いていきます。尊厳を持ち、最後の瞬間まで人を人として当たり前のように接する「福祉道」、「介護道」の追及をわれわれと一緒にしてみませんか。


”出会いに感謝”

名誉会長 髙橋 鼎

 

名誉会長 髙橋 鼎

世界の人口はおおよそ74億、日本は1億2千万強、岡山県でも約200万人の方が暮らしています。こんなにたくさんの人がいるにもかかわらず、皆さんはこの時代に日本人として、岡山県人として、そして岡山にかかわりのある人として、生きています。なにか見えない糸を感じずにいられません。人は一生のうち、必要とされるときに必要な出会いがあるといいます。

一緒に働く仲間、利用者とその家族、地域とのふれあいのひとつひとつが新たな出会いです。その出会いは多かれ少なかれ皆さんの人格形成など、様々なかたちで影響や刺激を与えます。出会いに感謝しなければなりません。医療や福祉に限らず、人をお世話するということはとても大変です。が、大変さゆえにそこで得た経験ややりがい、達成感は皆さんの糧になり、人間の幅を広げ、人として生きていく上で大いに役立つことになります。そうなるためにはまず、皆さんの現在位置を確かめてください。そうしてはじめて人生という名の羅針盤の舵をきることができます。


”感性”

名誉園長 髙橋 美代子

名誉園長 髙橋 美代子

先日、汲々とした日々の生活を脱し、香川県直島南寺の漆黒の闇のなかに明かりのありがたさと闇への畏れ、岡山県吉永町八塔寺での囲炉裏の火おこしに、火の大事さ、暖かさ、そして怖さを実感してきました。目が見える、手が動くことがどんなにありがたいことか、普段意識もしないで当たり前のように過ごし、生活の便利さゆえに忘れていますが、恐らくは遺伝子の奥底に刻まれている「意識」が、そのことを呼び覚ましてくれたに違いないと思っています。この気づきを大切にしたいと思います。

実体験のなかでこそ、感謝や感動、生命への慈しみ、そして「知恵」が生まれてきます。試みに水や食料がない時と場所を体験してみる。電気でもいい。便利さゆえに、暑さ、寒さ、昼夜、水、食事がない状態を感じなければ、自然への畏敬や感謝の念などわきません。体が不自由な状態、おむつをした感触、ベッドに縛られた気持ちを体験することによって、感じ、考え、思いを馳せることができます。自分が困っている人の立場であったらどうして欲しいか、常に念頭においてほしいことのひとつです。

「氷」が解けるとどうなるかという問いに、「水」になるという知識だけではなく、「春が来る」という感性を大事にしていきたいと思います。お年寄りや障がい者、子どもの普段と何気なく異なる仕草や表情を感じ取れるようにしたいものです。皆さんの「知恵」を活かす時がきています。